AIの業務活用が広がる一方で、情報漏えいや誤情報の利用、著作権侵害、サイバー攻撃への悪用など、セキュリティ面のリスクも無視できません。
安全にAIを活用するには、リスクを正しく理解し、社内ルールや技術的対策を整えることが重要です。
本記事では、AIセキュリティの概要から主な4つのリスク、企業が取り組むべき具体的な対策方法まで解説します。
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AIセキュリティーとは

近年は業務効率化や生産性向上を目的として多くの企業がAIを導入していますが、その一方で情報漏えいや不正利用、サイバー攻撃などのリスクも増加しています。
特にAIは大量のデータを活用してコンテンツを生成する特性を持つため、従来のITシステムとは異なる観点でのセキュリティ対策が不可欠です。
ここでは、AIセキュリティの基本的な定義や現在の対策状況、企業がセキュリティ対策を強化すべき理由について解説します。
- AIセキュリティの基本的な定義
- セキュリティ対策への現状
- 企業がセキュリティー対策を高めるべき理由
AIセキュリティの基本的な定義
AIセキュリティとは、AIシステムや生成AIを安全に開発・運用・利用するための対策全般を指します。
従来の情報セキュリティが不正アクセスや情報漏えい、マルウェア対策などを中心としていたのに対し、AIセキュリティでは、AI特有のリスクにも対応しなければなりません。
例えば、入力した機密情報が外部に流出するリスク、AIが誤った情報を生成するリスク、悪意あるプロンプトによって意図しない動作を引き起こされるリスクなどが挙げられます。
特に生成AIは、誰でも簡単に利用できる一方で、社内情報の入力や出力内容の確認不足によってトラブルにつながる可能性があるため、AIセキュリティの基本を理解し、自社の利用目的や取り扱う情報に応じた対策を講じることが大切です。
セキュリティ対策への現状
AIの活用が広がる一方で、企業のセキュリティ対策はまだ発展途上の段階にあります。
総務省の「令和7年版 情報通信白書」※1では、日本企業で生成AIの活用方針を定めている割合は2024年度調査で約50%とされており、大企業では約56%、中小企業では約34%にとどまっています。
AIの利用は拡大しているものの、社内ルールや管理体制の整備には企業規模によって差があるのが現状です。
また、IPAが公表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」※2では、組織向け脅威の3位に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選出されました。
AIの業務利用が進むなかで、情報漏えいや不正利用、攻撃手法の高度化などが現実的なリスクとして認識され始めていることが示されています。
今後は、AIを導入するかどうかだけでなく、どのように安全に使うかが企業の重要な課題になります。
特に業務効率化を目的にAIを利用する場合でも、機密情報を入力しないルールの徹底、出力内容の確認、利用履歴の管理など、実務に即した対策を整えることが欠かせません。
※1.令和7年版 情報通信白書
※2.情報セキュリティ10大脅威 2026 | 情報セキュリティ | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
企業がセキュリティー対策を高めるべき理由
企業がAIセキュリティ対策を高めるべき理由は、AIの利用拡大に伴い、事業上のリスクも大きくなっているためです。
特に企業では、従業員が業務上の機密情報や個人情報をAIに入力してしまうことで、情報漏えいにつながる可能性があります。
また、AIが生成した内容を十分に確認せずに利用すると、誤情報の発信や著作権侵害、顧客・取引先からの信用低下を招く恐れもあります。
AIを事業に効果的に活用していくためには、企業はA安全に活用するためのルールや管理体制を整えることが重要です。
AI利用時のセキュリティリスクの問題3つ

AIは業務効率化や生産性向上に大きく貢献する一方で、適切な管理体制が整っていない場合はさまざまなセキュリティリスクを招く可能性があります。
特に企業で利用する場合は、情報資産や顧客データを扱う機会が多いため、リスクを十分に理解した上で運用することが重要です。
ここでは、AI利用時に特に注意したい3つのセキュリティリスクについて詳しく解説します。
- 情報漏洩する
- データが改ざんされる
- 法的・コンプライアンス違反につながる
1.情報漏洩する
AI利用時の代表的なリスクの一つが情報漏えいです。
特に生成AIでは、利用者が入力した内容をもとに回答が生成されるため、顧客情報や個人情報、契約内容、未公開の経営情報などを入力すると、外部サービス上に機密情報を送信してしまう可能性があります。
情報漏えいを防ぐには、AIに入力してよい情報と入力してはいけない情報を明確にすることが重要です。
2.データが改ざんされる
AI利用時は、学習データや入力データが改ざんされるリスクにも注意が必要です。
AIは与えられたデータをもとに判断や予測、文章生成を行うため、元となるデータが不正に変更されると、出力結果の信頼性が大きく低下する可能性があります。
特に、AIの学習やチューニングに使うデータが意図的に操作されると、誤った判断を行ったり、特定の条件下で不適切な出力をしたりする恐れがあります。
データ改ざんを防ぐには、AIに利用するデータの出所を確認し、信頼できるデータのみを使用することが重要です。
3.法的・コンプライアンス違反につながる
AIの利用方法によっては、法的・コンプライアンス上の問題につながる可能性があります。
例えば、顧客情報や従業員情報などの個人情報をAIに入力する場合、利用目的の範囲内であるかを確認する必要があります。
また、AIが生成した文章や画像をそのまま利用すると、既存の著作物と類似してしまい、著作権侵害につながる恐れもあります。
法的・コンプライアンス違反を防ぐには、AIに入力してよい情報の範囲を明確にし、出力内容を人が確認する体制を整えることが重要です。
AI利用時のセキュリティリスクを引き起こす主な原因3つ

AI利用時のセキュリティリスクは、システムそのものの脆弱性だけでなく、利用者の運用方法や管理体制の不備によって引き起こされるケースも少なくありません。
適切なルールや教育が整備されていない場合、情報漏えいやコンプライアンス違反などの問題が発生する可能性があります。
ここでは、AI利用時のセキュリティリスクを引き起こす代表的な原因として、「機密情報の不用意な入力」「シャドーAI(未許可利用)」「ハルシネーション(嘘の出力)」の3つを解説します。
- 機密情報の不用意な入力
- シャドーAI(未許可利用)
- ハルシネーション(嘘の出力)
1.機密情報の不用意な入力
機密情報の不用意な入力は、AI利用時のセキュリティリスクを引き起こす大きな原因の一つです。
生成AIは、入力された文章やデータをもとに回答を生成するため、顧客情報、契約内容、社内資料、未公開の経営情報などを入力すると、外部サービスに重要情報を送信してしまう可能性があります。
特に問題になりやすいのは、従業員が「文章を要約したい」「メール文を整えたい」「議事録を作成したい」などの目的で、深く考えずに社内情報を貼り付けてしまうケースです。
業務効率化のための利用であっても、入力内容に個人情報や取引先情報、未公開情報が含まれていれば、情報漏えいやコンプライアンス違反につながる恐れがあります。
機密情報の不用意な入力を防ぐには、顧客名や会社名、金額、契約条件などを伏せる、社外秘資料をそのまま貼り付けない、利用可能なAIツールを限定するなどのルールを整備する必要があります。
2.シャドーAI(未許可利用)
シャドーAIとは、企業が許可していないAIツールを従業員が業務で利用することを指します。
AIは無料または低コストで手軽に使えるものが身近にあるため、従業員が文章作成や要約、翻訳、資料作成などの目的で、個人判断により外部のAIサービスを利用してしまうケースがあります。
一見すると業務効率化につながる行動に見えますが、企業側が利用状況を把握できていない場合、入力された情報の管理ができません。
例えば、顧客情報や契約内容、社内資料などが未許可のAIサービスに入力されると、情報漏えいやコンプライアンス違反につながる恐れがあります。
シャドーAIを防ぐには、単にAI利用を禁止するのではなく、従業員が安全に使える環境を整える対策が重要です。
3.ハルシネーション(嘘の出力)
ハルシネーションとは、AIが事実と異なる情報や根拠のない内容を、もっともらしく出力してしまう現象です。
ハルシネーションが問題となるのは、出力内容が一見自然で正確に見える点です。
例えば、AIが作成した調査結果や法務・労務に関する説明、顧客対応文、社外向け資料などをそのまま利用すると、誤った情報をもとに意思決定をしてしまう可能性があります。
ハルシネーションによるリスクを抑えるには、AIの出力をそのまま信頼せず、人が必ず内容を確認する体制を整えることが重要です。
特に、数値データ、法律・制度、医療、金融、契約条件など正確性が求められる情報については、公式サイトや一次情報と照合する必要があります。
AIはあくまで業務を補助するツールとして活用し、最終的な判断や公開前の確認は人が行うことが、安全なAI利用につながります。
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AIセキュリティの企業が行うべき対策

AIを安全に活用するためには、リスクを理解するだけでなく、企業全体で適切なセキュリティ対策を実施しなければなりません。
ガバナンス体制の整備や利用ルールの策定、インフラ環境の強化、ログ監視などを組み合わせると、より効果的にリスクを低減できます。
ここでは、企業がAIセキュリティを強化するために取り組むべきおもな対策について解説します。
- セキュリティガバナンスを確立する
- 社内ルールやガイドラインを策定する
- 社内インフラを整備したシステムを構築する
- サイバー攻撃の対策をする
- ログを監視する
セキュリティガバナンスを確立する
AIセキュリティを強化する上で重要なのが、セキュリティガバナンスの確立です。
セキュリティガバナンスとは、AIの利用に伴うリスクを組織全体で管理し、安全かつ適切に運用するための体制やルール、責任範囲を明確にする取り組みを指します。
企業は、セキュリティガバナンスに即してAI利用に関する意思決定を行う責任者や委員会を設置し、利用ルールや承認プロセスを整備することが重要です。
また、定期的なリスク評価や監査を実施し、AI利用状況を継続的に確認すれば、組織全体で安全なAI活用を推進できます。
社内ルールやガイドラインを策定する
AIセキュリティを高めるには、社内ルールやガイドラインの策定が欠かせません。
社内ガイドラインで策定すべき項目は以下の通りです。
- 利用できるAIツール
- 入力してよい情報と禁止する情報
- 出力内容の確認方法
- 著作権や個人情報の取り扱い
- 利用履歴の管理方法 など
また、ルールを策定するだけでなく、従業員に周知し、定期的に見直すことも必要です。
社内研修やFAQの整備、相談窓口の設置などを通じて、現場が迷わず安全にAIを活用できる環境を整えましょう。
社内インフラを整備したシステムを構築する
AIを安全に活用するためには、社内インフラを整備したシステム環境を構築することも重要です。
具体的には、AIシステムへのアクセス権限を適切に管理し、必要な従業員のみが利用できる環境を整える必要があります。
また、通信の暗号化、多要素認証(MFA)、シングルサインオン(SSO)などを導入することで、不正アクセスやアカウントの乗っ取りリスクを低減可能です。
技術的な対策と運用ルールを組み合わせると、企業はAIをより安全かつ効果的に活用できるようになります。
サイバー攻撃の対策をする
AIセキュリティを強化するには、従来のウイルス対策や不正アクセス対策だけでなく、AI特有のサイバー攻撃にも備える必要があります。
おもな攻撃内容と対策は以下の通りです。
| 攻撃の種類 | 内容 | 想定されるリスク | おもな対策 |
| 敵対的攻撃(アドバサリアル攻撃) | AIにわずかなノイズや不正データを入力し、判断や分類を誤らせる攻撃 |
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| モデル反転攻撃 | AIの出力傾向を分析し、学習データに含まれる機密情報や個人情報を推測する攻撃 | 学習データや顧客情報の漏えい |
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| AIを悪用したフィッシング・マルウェア | AIを使って自然なフィッシングメールや未知のマルウェアを作成する攻撃 |
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サイバー攻撃への対策は、特定の製品を導入するだけでは不十分で、入力データ、AIモデル、出力結果、利用者の操作、外部連携などを多層的に守る必要があります。
また、従業員教育やインシデント対応手順の整備、ログ監視を行うと、AIを安全に活用できる体制を構築できます。
ログを監視する
AIセキュリティを継続的に維持するためには、AIシステムや関連サービスのログを監視することが重要です。
ログには、誰が、いつ、どのAIツールを利用し、どのような操作を行ったかといった情報が記録されるため、不正利用や情報漏えいの兆候を早期に発見しやすくなります。
具体的には、AIサービスへのログイン履歴、アクセス元、利用者情報、プロンプトの入力履歴、API利用状況などを定期的に確認すると効果的です。
また、異常なアクセスや通常とは異なる利用パターンを検知できる監視システムを導入すれば、サイバー攻撃や不正利用への迅速な対応にもつながります。
継続的なログ監視と運用改善を行うと、企業はAIをより安全かつ適切に活用できる体制を構築できます。
AIセキュリティ製品の探し方

AIセキュリティ対策を進める際は、自社の課題や利用目的に合った製品・サービスを選定することが重要です。
しかし、AIセキュリティ製品は急速に進化しており、機能や対応範囲も多岐にわたるため、自社だけで最適なソリューションを見極めることは容易ではないため、複数の方法を組み合わせて製品を比較・検討するのが効果的です。
ここでは、AIセキュリティ製品を効率よく探し、自社に最適なソリューションを選定するためのおもな方法を紹介します。
- ITベンダーやコンサルティングへの相談
- 最新ソリューションがわかる展示会
- 自社課題のテーマで検索するオンライン
ITベンダーやコンサルティングへの相談
AIセキュリティ製品を探す際は、ITベンダーやコンサルティング会社へ相談する方法があります。
AIセキュリティは、情報漏えい対策、アクセス制御、ログ監視など検討すべき範囲が広いため、自社だけで最適な製品を判断するのが難しい場合があります。
相談する際は、自社がAIをどの業務で利用したいのか、どのような情報を扱うのか、既存のセキュリティ製品と連携できるか、導入後のサポートを受けられるかを整理しておきましょう。
複数のベンダーやコンサルティング会社に相談して比較すれば、自社の課題に合ったAIセキュリティ製品を選びやすくなります。
最新ソリューションがわかる展示会
AIセキュリティ製品を探す方法として、最新ソリューションが集まる展示会に参加することも有効です。
AIセキュリティは技術の変化が速く、Webサイト上の情報だけでは製品ごとの違いや実際の操作感を把握しにくい場合があります。
展示会であれば、複数の製品を比較しながら、担当者に直接質問できる点が大きなメリットです。
AIセキュリティ製品を比較検討する際は、展示会を情報収集と商談の場として活用するとよいでしょう。
自社課題のテーマで検索するオンライン
AIセキュリティ製品を探す際は、自社課題のテーマに合わせてオンライン検索する方法も有効です。
例えば、生成AIへの機密情報の入力を防ぎたい場合は「生成AI DLP」「AI 情報漏えい 対策」「CASB 生成AI」などのキーワードで検索すると、関連する製品や解説記事を見つけやすくなります。
実際にオンラインで製品を探す際は、製品ページだけで判断せず、導入事例、ホワイトペーパー、比較記事、公的機関のガイドラインなどもあわせて確認するのが効果的です。
オンライン検索で候補を絞り込んだ上で、必要に応じてベンダーへの問い合わせや展示会での比較につなげると、製品選定を効率よく進められます。
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AIセキュリティについてよくある質問

ここでは、AIセキュリティに関するよくある質問とその回答について解説します。
- AIへの入力で禁止すべき情報はなんですか?
- 製品提供において低コストでアプローチできる方法はなんですか?
AIへの入力で禁止すべき情報はなんですか?
具体的に入力を避けるべき情報には、以下のようなものがあります。
- 顧客情報や従業員情報などの個人情報
- 社外秘資料や営業秘密、開発情報
- 契約書や見積書などの機密文書
- ID・パスワードやAPIキーなどの認証情報
- 未公開の経営戦略や財務情報
- 取引先との契約条件や秘密保持契約(NDA)の対象情報 など
上記のようなの情報をAIへ入力する必要がある場合は、企業向けにセキュリティ対策が施されたAIサービスを利用したり、会社名や氏名などを匿名化・マスキングしたりするなどの対策を講じなければなりません。
また、社内で入力可能な情報の範囲を明確に定め、従業員へ周知・教育を行うと、情報漏えいリスクを低減できます。
製品提供において低コストでアプローチできる方法はなんですか?
AIセキュリティ製品を低コストでアプローチしたい場合は、オンライン展示会やウェビナー、専門テーマ型のカンファレンスを活用する方法があります。
製品提供において費用対効果を高めたい場合は、幅広い層に一方的に広告を配信するのではなく、AIセキュリティに関心を持つ企業担当者が集まる場を活用することが有効です。
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AIの普及に伴い、企業では情報漏えい対策やAIガバナンス、サイバー攻撃対策など、AIセキュリティへの取り組みが欠かせなくなっています。
一方で、AIセキュリティ製品は種類が多く、自社の強みを見込み顧客へ効果的に伝えるには、課題意識の高い担当者へ情報を届けられる場を選ぶ必要があります。
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