
サイバーセキュリティのプロ集団「網屋」とは
―まず貴社の事業内容を教えていただけますか。
藤城 : 株式会社網屋は、サイバーセキュリティを主軸に事業を展開している企業です。もともとネットワーク関連事業からスタートしており、社名の「網屋」も“ネットワークの網”に由来しています。
当社の成長を後押ししたのが、ログ管理製品『ALog』です。企業のセキュリティログを一元管理できるこの製品は、業種・業界を問わず多くの企業に導入され、現在では国産SIEM市場でトップクラスのシェアを誇る主力製品となりました。加えて、SASEという次世代ネットワークセキュリティを担う『Verona』も大きく成長しており、導入企業が拡大しています。
さらに現在は、サイバー攻撃を受けた際に対応する「緊急インシデント対応サービス」や、事前にリスクを可視化する「脆弱性診断」など、セキュリティ全体をカバーするラインナップでサービスを展開しています。
塩野 : 私たちが『ALog』『Verona』の主力製品に加えて、セキュリティ全体をカバーする方向へと舵を切った背景には、サイバー攻撃の高度化があります。セキュリティはかつて大企業のものというイメージが強くありましたが、今では中堅・中小企業までもが攻撃対象となる時代です。
私たちはこうした時代背景をふまえ、「SECURE THE SUCCESS.」というビジョンを掲げ、「誰でもセキュリティを導入できる社会」の実現を目指しています。大企業に限らず、あらゆる規模の企業に対応できる製品とサービスを届けていきたいと考えています。
―マーケティング部の業務内容やお二方の役割についてお聞かせください。
藤城 : 私たちマーケティング部は、プロダクトマーケティング、セールスプロモーション、デザイン、インサイドセールス(外部パートナー含む)の4つのチームで構成されています。
私はその中のセールスプロモーションチームに所属し、主に展示会やイベントへの出展計画とリード獲得の施策を担当しています。また、イベント後はリードを精査し、資料提供やセミナー案内などのナーチャリング施策にも取り組み、アポイントにつながる流れをつくることが役割です。
塩野 : 私も同じチームですが、主にイベントのコンテンツ制作や講演内容の設計、コピーライティング、Web広告運用などを担当しています。月に数回のウェビナーやカンファレンスの企画も行っており、コンテンツ制作に注力しています。
リード数より「質」重視。アポが取れなければ意味がない
―マーケティング活動で特に課題に感じていたことを教えてください。
塩野 : 一番の悩みは、やはり「コスパ」です。これまではリード数を多く集められる大規模なイベントに出展してきましたが、毎年同じようなイベントに出続けると、リードの重複率がどんどん高まり、新規顧客の開拓が難しくなっていたんです。また以前はセキュリティに特化したイベント自体が少なく、「出たいと思えるイベントがない」という悩みもありましたね。
藤城 : また、大規模なイベントで仮に3000名のリードを獲得しても、その多くが情報収集段階で終わってしまい、「購買意欲が感じられない」というケースも少なくありませんでした。
一方、自社にフィットしたテーマの小規模イベントでは、たとえリード数は少なくても、確度の高いアポにつながることがあり、「これが本当に求めていたリードだ」と実感するようになりました。そのあたりから、「リード単価」よりも「アポ単価」で見るべきなんじゃないか、という意識が起き始めたんです。
塩野 : この流れを受けてKPIも「コンバージョン(CV)」から「アポイント獲得」へと変化し、マーケチームにも「今月、何件アポを獲得できたか」という成果が強く求められるようになりました。
それまでのように、ハウスリストを拡充してメルマガを出していれば良かった時代は終わったんだ、と痛感しましたね。「アポを増やすために出るべきイベントはどこか?」という新たな視点で、出展先を根本から見直す必要が出てきたんです。
―そんな中で、今回の「情報セキュリティフォーラム2025」に出展を決めたきっかけは?
藤城 : きっかけは、ネットワークセキュリティ業界の知人からの紹介でした。「高久さん(リバイバル・マネジメント・フォーラム事務局の代表)が運営しているイベントは、リードの質が高く、アポイントにつながりやすい」と聞き、調べてみると実際に参加する担当者の肩書きや所属部門が、私たちのターゲットとぴったり合っていたんです。
さらに、これまでの出展企業の成果やイベント構成を見て、「ここなら間違いなくアポが取れそうだ」と思いました。リード単価ではなく、アポ単価という指標で考えたとき、むしろコストパフォーマンスが良いのでは?と感じたことが出展の決め手になりました。
約300件の選定リードへのアプローチで、11件のアポイントを獲得
―実際にイベントに参加され、どのような成果が得られましたか?
藤城 : イベントに参加した結果、リードは489件獲得できました。その中から企業規模や部門、アンケート回答内容などをもとに優先度をつけ、約300件を選定してアプローチを実施したんです。
その結果、11件のアポイント獲得に成功しました。約2.2%の商談化率は、これまで参加してきた他のイベントと比べても非常に高く、明らかに違いを感じる成果となりました。
塩野 : とくに驚いたのが、メールによるフォローだけで5件ものアポが取れたことです。これまでは、MAツールにリードを流し込み、一斉にお礼メールを送って興味のある方からの返信を待つというスタイルでした。
ですが、今回は今すぐに商談につながりそうな企業を中心に絞り込んでいき、「講演を視聴していたかどうか」「アンケートでセキュリティ課題があると回答していたかどうか」といった条件に合致する123件に個別でメールを送ったんです。
そうした流れで、結果としてメールだけで5件のアポが獲得できたのです。ここまで効率よくアポにつながるケースは多くありません。
―このような成功の要因は何だとお考えでしょうか?
塩野 : やはりリードの質の高さですね。参加者がそもそも自社のセキュリティ対策に課題意識をもっており、「いざという時に頼れる会社と今のうちにつながっておきたい」というニーズが見えたことが大きかったです。さらに、リード納品がイベント翌日だったこともあり、熱量が高い状態のうちにフォローを開始できたため反応が良かったのだと思います。
藤城 : そうですね。他イベントではアポ獲得率が0.1%程度にとどまるケースも多い中、今回のイベントでは「今すぐ相談したい」という明確なニーズを持つ担当者とつながれたことが、成功の大きな要因だったと思います。
リード数を追う時代から成果重視の時代へ
―今後、イベントに期待することを教えてください。
藤城 : 今回のように、質の高いリードが獲得できるイベントであれば、ぜひ今後も継続的に出展していきたいです。新規リードの獲得と既存リードとの重複が少ないことは非常に魅力的ですね。
塩野 : イベントの形としても、リアル開催やラウンドテーブルのような少人数形式のものにも関心があります。リアルの場ならではの温度感や空気感が、商談にスムーズにつながることも多いと感じています。また、年間パッケージなど、継続的に計画できる出展機会があると、より戦略的に取り組めるので今後に期待しています。
―最後に、イベント出展を検討中の企業へメッセージをお願いします。
塩野 : 「リード数」を追いかける時代は、もう終わりに近づいているのかもしれません。大切なのは「アポ単価」や「商談化率」といった実際の成果につながる指標だと思います。
このイベントはまさにそこにフォーカスしていて、結果的にアポイント獲得につながりやすい。コストパフォーマンスを重視する企業こそ、一度試してみる価値はあるはずです。
藤城 : 営業リソースが限られている企業こそ、「今すぐ相談できる相手とつながること」が重要だと思います。
ナーチャリングに時間をかけられない現場だからこそ、フレッシュで温度感の高いリードをすぐに受け取れる──。そんなイベントは本当に貴重です。私たちのように「アポを取りにいきたい」という企業には、ぜひおすすめしたいですね。