製造業に注力「バーチャル内覧」で業界の3Kイメージを刷新
―まず、貴社の事業内容についてお聞かせください。
ArchiTechは、「建築×IT」の領域で事業を展開する京都発のスタートアップです。「愛される建築が持続的に生まれ、育まれる社会を実現する」という理念を掲げています。
私は京都大学の建築学科在学中に起業し、個人事業の期間を経て法人化しました。現在、会社としては8期目に入っています。
現在、特に力を入れているのが、空間を3D化・バーチャル化するサービス『ミセルバ』です。もともとはホテルや結婚式場、オフィス、文化財など幅広い施設を対象としていましたが、製造業のお客様から工場のバーチャル化についてご相談をいただいたことをきっかけに、ここ1年半ほどは製造業向けの展開に力を入れています。
―製造業では、どのように活用されているのでしょうか。
『ミセルバ』は、わかりやすく言えば「バーチャル工場見学」です。製造業では、採用や営業、社内教育など、さまざまな用途で活用されています。
たとえば採用では、工場内の環境を見せることで、製造業に対するいわゆる「3K」のイメージを変えるきっかけになります。営業シーンでは、会社案内やカタログだけでは伝わりにくい製造環境を、訪問先で具体的に見せることができます。
今回のカンファレンスでは、社内教育、とくに安全教育に焦点を当てました。バーチャル空間の中に作業手順書や過去の労災情報などを組み込み、従業員が工場内を見て回りながら、注意すべき場所や作業上のリスクを学べる仕組みです。
新人や異動してきた従業員は、限られた研修時間の中ですべてを覚えることが難しいため、パソコンから繰り返し確認できる点に価値を感じていただいています。
「展示会だけでいいのか」新たなリード獲得施策を模索
―伊藤様は、マーケティングや営業にも携わっていらっしゃるのでしょうか。
最終責任者として、一通りの業務は見ています。中でも、マーケティングや営業など、ビジネス側の業務に携わることが多いですね。
―マーケティングや営業では、どのような課題を抱えていましたか。
マーケティングや営業では、どのような課題を抱えていましたか。
展示会を通じて、私たちが出会いたい層と接点を持ち、一定数のアポイントを獲得できることは見えてきました。
一方で、展示会は一回の出展ごとにまとまった費用が発生しますし、事前準備や当日の対応にも人手が必要です。そこから期待しているほど受注につながっているかというと、まだ試行錯誤している段階でした。
展示会自体が良い、悪いという話ではありません。ただ、費用対効果がまだ見えきっていない中で、社内では「リードを獲得する方法は展示会だけでよいのだろうか」という議論が出ていました。
接点のある企業の事例記事が後押しに。まずはトライアルで協賛を決断
―そのような状況の中で、弊社のリバイバル・マネジメント・フォーラム(以下、カンファレンス)を知ったきっかけを教えてください。
今年度は展示会に4回出展する計画でしたが、動き始めるのが少し遅くなり、希望していた時期の展示会がすべて埋まってしまっていました。代わりになる施策を社内の事業開発メンバーと探していたところ、メンバーが貴社のカンファレンスを見つけてくれました。
初めて検討する施策ではありましたが、同じ関西で接点のある企業の事例記事を読めたことで、カンファレンスの内容を具体的にイメージしやすくなり、一つの安心材料になりました。そこから詳しく調べ始めた形です。
―協賛を決めた理由は何だったのでしょうか。
問い合わせ後にカンファレンスの説明を受け、協賛費用と納品されるリード数を比較しました。本当に説明どおりの件数が納品されるのであれば、リード数だけで見ると、展示会よりも明らかに費用対効果が高いと感じました。
もちろん、企業名を見ただけでは、弊社のサービスが本当に導入対象になるかまではわかりません。その後に商談をしてみなければ、リードの質も判断できません。
そのため、最初から「絶対に成果が出る」という確信があったというより、まずはトライアルとして協賛し、納品されたリードからどれだけのアポイントが生まれ、その後の商談がどう進むかを見てみようと考えました。
「ながら聞き」の懸念を払拭。2ヶ月で有償PoCへつながったオンライン配信の手ごたえ
―実際に登壇し、リードの納品を受けて、どのような成果がありましたか。
まず、納品されたリードの件数が、事前に伺っていた目安よりもかなり多かったため、その時点で「参加してよかった」と感じました。
その後、メール配信や電話でアプローチを行い、設定していたアポイントの目標件数も達成できました。リード獲得からアポイント獲得までについては、非常に良い結果だったと評価しています。
―オンラインカンファレンスという形式については、どのように感じましたか。
事前に内容を作り込めるため、参加者の方に対して同じ内容をぶれなく伝えられる点は大きかったと思います。展示会では、限られた社員だけですべての来場者に対応することが難しく、臨時スタッフの方にブースへ立っていただくこともあります。もちろん事前準備として社内教育は実施しますが、普段から弊社の業務に携わっているわけではありません。
その点、今回は私自身が内容を作り、自分で話しました。『ミセルバ』は、画面を見ればサービス内容を比較的理解しやすい商材です。当日の登壇でも、工場内を歩いているように見られる映像を画面共有でお見せしました。
一方で、オンラインでの一方向の配信だからこそ、参加者の方がどれだけ集中して聞いてくださっているのかは懸念していました。Zoomのセミナーは、参加する側としては別の作業をしながら聞くこともできてしまいますからね。
それでも、後日お電話した際には「あのサービスですね」と覚えてくださっている方が多く、オンラインでも一定、印象に残っていたのではないかと感じています。少し背伸びをしたアポイント目標を達成できたことも、ポジティブな驚きでした。
―アポイント獲得後の商談は、どのように進んでいますか。
大手企業1社からは、導入の検討に向けて有償PoCを実施したいという意思決定をいただきました。今回のカンファレンスでは安全教育をテーマに登壇していたため、その企業でも同じく安全教育を目的に検討が進んでいます。
弊社のサービスは、導入までの意思決定が長くなりやすく、1年や1年半ほどかかるケースも珍しくありません。その中で、登壇から約2か月で有償PoCまで進んだことは、通常の営業リードタイムと比べてもかなり早く、非常にポジティブに受け止めています。
もちろん、年度替わりやゴールデンウィークの時期を挟んだこともあり、現在も進行中の案件は複数あります。ただ、早い段階で具体的な検討に進む案件が生まれたことは、大きな手応えになりました。
準備負担を抑えながら、展示会以上の費用対効果を実感
―最初の課題だった、展示会と比べた費用対効果については、どのように感じましたか。
今回のカンファレンスは、もともと展示会に出展できなかった代替施策として参加しました。そのため、「どれだけ社内の負担を軽くしながら成果を得られるか」も検証したいと考えていたんです。
振り返ってみると、展示会出展と比べて、準備の負担はかなり抑えられました。それでいて、納品されたリードや獲得できたアポイントは、展示会と遜色のない成果でした。費用だけでなく、社内の人的コストまで含めると、非常に費用対効果の高い施策だったと感じています。
―リードの納品スピードについてはいかがでしたか。
とても早くて驚きました。リードを早いタイミングで納品いただけたことで、社内で内容を精査し、優先順位をつけながらアプローチに移ることができました。
いただいたリードをどのように商談につなげていくかは、自社側の体制や運用にも左右される部分だと思います。ただ、鮮度の高い状態でリードを受け取れることは、その後のアプローチを考えるうえでも大きなメリットだと感じました。
自社に合うかは、まず一度試して判断する
―最後に、カンファレンスへの協賛を検討している企業へ、メッセージをお願いします。
弊社は、オンラインカンファレンスへの登壇自体が今回初めてでした。自社の商材に合うかどうかは、頭の中で考え続けても、なかなかわからないと思います。まず一度試してみて、どれだけアポイントにつながったのか、その後の商談がどう進んだのかを確認することが大切です。
弊社も実際に取り組んだからこそ、よかった部分が見えました。一方で、社内のオペレーションとして、次回はもう少し改善できそうだと思う部分も見つかりました。
大切なのは、実施前に評価方法を設計し、終了後にきちんと振り返ることです。その結果をもとに、次回も継続するのかを判断すればよいと思います。
協賛するか迷っているのであれば、まずは一度試してみるのもよいのではないでしょうか。
